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診療技術部のご案内
リハビリテーション室
リハビリテーション室紹介
「リハビリテーション(Rehabilitation)」は一般的に運動器疾患(整形外科疾患)の治療手段・保存的治療として捉えられる場合が少なくないですが、ラテン語の「habilitare(適合させる)」を語源としており「再び適した状態にする」「全人間的復権」の意味があることから、様々な病気・怪我等により生じた機能障害の回復や残存した障害を克服しながら人々の活動を育んで生活を再建・支援する過程の全てを指しています。リハビリテーションは「医療」「職業」「社会」「教育」「工学」の5分野から成り立っており、その中の医療に関する分野の一役を理学療法・作業療法・言語聴覚療法が担っています。
リハビリテーション室では、病気・怪我や手術等により低下した運動機能・日常生活動作の向上・改善や認知・精神機能の改善や活動性の向上等を目指して、各診療科の医師や理学療法士・作業療法士が多職種との連携を図りながら診療を行っています。
リハビリテーション医療は機能回復・生活再建を目標とする医療であるため、対象とする範囲・領域が多岐にわたり、対象疾患も幅広いという特徴があります。また、長期間にわたって行われる場合も多く、一施設では治療が完結しにくく、近隣の医療機関や介護・福祉施設と連携を図りながら 各医療機関・介護福祉施設の特徴・特性を踏まえて、質の高いリハビリテーション医療が提供できるように努めています。
理学療法室
「理学療法」は病気・怪我や手術もしくは高齢・障害等により運動機能が低下された状態の方に対して、運動機能回復や基本的動作(寝返る・起き上がる・座る・立ち上がる・歩くなど)の獲得、あるいは障害悪化の予防などを目的に、運動療法や日常生活動作練習そして補助的手段として(温熱・電気・水・光線などの)物理療法を用いて行う治療です。また、日常生活や社会活動の支援のため、福祉用具の使用・住宅改修なども行います。
理学療法室では、急性期での早期離床による廃用症候群の予防や体力維持/改善、そして亜急性期・回復期での運動機能障害の改善や基本動作の再獲得などを目的とする運動療法・日常生活動作練習を実施しています。
脳神経疾患・運動器疾患・呼吸器疾患・循環器疾患・代謝疾患(糖尿病、他)・腫瘍などの各疾患を専門領域とする理学療法士が中心となって対応します。「もともと慢性の呼吸器疾患があって脳卒中を発症された方」「糖尿病治療中に転倒して骨折された方」などの多疾患併存(マルチモビディティ)・重複障害を持つ方々に対して理学療法を実施することも大変多く、様々な疾患・障害にも幅広く対応できるように取り組んでいます。また、「理学療法診療ガイドライン」「がんのリハビリテーションガイドライン」などの各学会で定められている治療指針等を踏まえて、標準的な理学療法が提供できるようにしています。
作業療法室
「作業」とはセルフケア・家事・仕事・趣味・対人交流など日常の生活で行うすべての活動のことです。作業療法はその様々な「作業」を用いて治療を行っていきます。
必要な身体機能や精神・心理・高次脳機能面へのアプローチ、環境調整や福祉用具の提案などを行い、病気や障害を持ちながらも患者様の「できるようになりたいこと」「しなければいけないこと」「することが期待されていること」が達成できるよう、その人らしい生活が送れるよう支援していきます。
リハビリテーション室概要
下記の通り(小児科を除いた)内科・外科・循環器科・呼吸器科・緩和ケア・人工透析などの全診療科を対象としています。
対象疾患 / 障害
- ・脳神経疾患(脳出血・脳梗塞・脳腫瘍・パーキンソン病・筋萎縮性側索硬化症など)
- ・運動器疾患(変形性関節症・骨折・脊椎/脊髄疾患など)
- ・呼吸器疾患(肺炎・慢性閉塞性肺疾患・間質性肺疾患・外科の術前/術後など)
- ・循環器疾患(慢性心不全・心筋梗塞など)
- ・代謝/腎疾患(糖尿病・慢性腎不全/人工透析)
- ・その他(廃用症候群・腫瘍/がん・緩和ケア・嚥下障害など)
施設基準(令和5年7月現在)
・脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)
・廃用症候群リハビリテーション料(Ⅱ)
・運動器リハビリテーション料(Ⅰ)
・呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)
・がん患者リハビリテーション料
各資格・認定
理学療法士4名・作業療法士2名が在籍し、以下の資格・認定を有しています。
資格・認定名 | 認定機関 |
---|---|
登録理学療法士 | (公社)日本理学療法士協会 |
地域包括ケア会議推進リーダー 介護予防推進リーダー フレイル対策推進マネジャー |
|
協会指定管理者(初級) | |
3学会合同呼吸療法認定士 | 3学会合同呼吸療法認定士認定委員会 |
広島県糖尿病療養指導士 | 広島県糖尿病療養指導士認定機構 |
福祉住環境コーディネーター | 東京商工会議所 |
各活動・取り組み
チーム医療/多職種連携
医師・看護師・薬剤師・社会福祉士(介護支援専門員)・介護福祉士・管理栄養士などの各職種が連携・相互補完して治療にあたるチーム医療/多職種連携に取り組んでいます。
主な目的としては
- ① 病気の早期発見・回復促進・重症化予防などの医療/生活の質の向上
- ② 効率性の向上による医療従事者の負担軽減
- ③ 標準化/組織化を通じた医療安全向上
の3点があります。
定期的に開催される多職種合同カンファレンスに参加することにより
- ⅰ)治療方針や内容の確認・修正
- ⅱ)対象者の状況共有
を図り、対象者の医療/生活の質が向上するように心掛けています。多職種が連携して治療にあたるチーム活動も行っています。「呼吸療法チーム」「糖尿病透析予防チーム」に所属しており、各スタッフの専門領域がより高められるように取り組んでいます。
地域連携・他
対象者が退院後に自宅で適切かつ円滑に在宅ケア・在宅サービスを受けられるように、必要に応じて近隣の医療機関や居宅介護支援事業所・在宅サービス提供事業者(介護老人保健施設・老人福祉施設など)との地域連携・情報交換を行っています。
安芸地区地域保健対策協議会(地域リハビリ専門委員会)や広島県地域リハビリテーション推進事業への参加などを通じて地域包括ケアシステム[※]の構築に取り組んでおります。また、地域包括支援センターとの連携等により介護予防の取り組みを総合的な支援が行えるように当室スタッフの多くは広島県地域リハビリテーション専門職人材育成研修を修了しています。
[※]いわゆる「団塊世代」が75 歳以上の後期高齢者になる2025 年には医療・介護のニーズが更に増大すると予測されていますが、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるように、地域の実情に応じて一体的に医療・介護・予防・生活支援などの包括的なサービスを構築・提供されるシステムのことを「地域包括ケアシステム」と呼ばれています。
病棟/病床専任者の配置
一般病床・地域包括ケア病床・療養病棟・緩和ケア病棟に病棟・病床専任者を配置して
- ① 入院早期からの離床・ADL 改善
- ② 退院後の生活状況の確認・退院支援
- ③ 理学療法・作業療法未実施の対象者に対し(理学療法・作業療法の)開始・依頼の提案
などを行うことで寝たきり・要介護状態の防止を図るとともに、退院困難事例への早期対応も行っています。
病棟での転倒・転落事例に対してリスクマネージャー・各病棟スタッフと転倒・転落状況を確認した上で療養生活の環境調整などの提案も行っています。
感染対策
リハビリテーション室ではスタッフの病棟間移動等により感染者・非感染者が接触しやすい状況にあることから院内感染を発生させやすい環境下にあることは否めません。そのため、感染予防・拡大防止等の観点から標準感染予防策に取り組みながら、院内感染対策チーム(ICT)作成のマニュアルに沿って2 回/日の室内清掃なども行っています。
理学療法・作業療法を実施する場合は下記の通り感染経路に応じた対応を行っています。
感染経路 | 対応内容 |
---|---|
接触感染 | 感染者と非感染者が接触しないように約2~5m 程度の距離を保った状態にて理学療法・作業療法を実施しています。実施直後には(感染者が)使用した器具/物品を清掃・消毒することで非感染者への感染拡大の防止を図ります。 |
飛沫感染 | (感染者の)飛沫物が非感染者へ飛散することで生じる感染を防止するためスタッフは 個人防護具を装着した上で、病室内で理学療法・作業療法を実施します。 |
空気感染 | 基本的に理学療法・作業療法は中止対応としています。院内感染対策チーム(ICT)と医 師から院内感染拡大の可能性が低いと判断された場合には実施することもあります。 |
人材育成
臨床実習指導
理学療法室・作業療法室ともに広島県内にある理学療法士・作業療法士養成校の臨床実習施設として指定を受けており、各養成校から年間約5~10名程度の学生を受け入れて臨床教育を行っています。
厚生労働省指定の「臨床実習指導者講習会」を修了した臨床実習指導者が「診療参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ)」にて学生への教育・指導を行っています。診療参加型臨床実習は学生(実習生)が診療チームへ参加して、その一員として診療業務を分担しながら理学療法士・作業療法士としての職業的な知識・思考法・技能・態度などの基本的な内容を学ぶことを目的としています。
教育・指導の一環として対象者の承諾を得た上で、安全確保を最優先に行った状態で各評価/測定や理学療法・作業療法実施場面の見学させていただく場合や、個人情報保護を遵守した上で対象者のデータ・資料を活用させていただく場合があります。
実地研修
理学療法室では(公社)日本理学療法士協会生涯学習制度における前期研修施設としての指定を受けています。
スタッフ教育
院内では各委員会・チーム会が主催する医療安全管理・感染対策・接遇に関する院内研修会、そして、院外では様々な学会/学術大会や研修会・講習会・セミナーへ参加して知識・技術向上を図り、自己研鑽に努めています。